スマートコントラクトで、世界を変える。DMMが始める理由

事業部長×技術責任者 インタビュー

DMMがスマートコントラクト事業に乗り出した。
第3の革命とも言われる革新的な分野で、DMMは何をやろうとしているのか?
DMMが描くスマートコントラクトな未来とは?

事業部長と技術責任者が、事業への熱い思いを語る──

登壇者一覧

川本栄介かわもとえいすけ

DMMスマートコントラクト事業部長

顔写真:川本栄介
18歳で当時石川県加賀市にあったDMMの前身であるDooGAにアルバイト入社。動画月額配信、物販事業、ライブチャット事業に従事。Sler、楽天、サイバーエージェント、複数のベンチャー企業で新規事業立ち上げに携わった後、2016年DMM復帰。オンラインサロン事業部長、Okan事業部長、クリプトマイニング事業部長を経て現職。DMMスマートコントラクト事業部に集う革命家を率いる総司令官。
加嵜長門かさきながと

DMMスマートコントラクト事業部エバンジェリスト

顔写真:加嵜長門
物心付いた頃にはインターネットが生まれていた世代。2014年にエンジニアとして入社、自身の提案からビッグデータ処理技術の研究開発を行うCTO室に所属し、Apache Sparkを用いたレコメンドエンジン開発に従事。ビッグデータ部レコメンドチームリーダーを経て、現職。共著に『詳解Apache Spark』(技術評論社)、『ビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピ』(マイナビ出版)、『ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書』(マイナビ出版)。願掛けのためコーヒーを10年断っている、強い信念を持つ革命家。
篠原航しのはらわたる

DMMスマートコントラクト事業部テックリード

顔写真:篠原航
サイバーエージェント、NHN PlayArt株式会社のサーバサイドエンジニアを経て2015年入社。加嵜とともにレコメンドエンジンの開発に携わる。主にdevOpsやインフラ、API設計を担当。ビッグデータ部リードエンジニアの後、現職。共著に『ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書』(マイナビ出版)。加嵜と二人三脚でDMMのスマートコントラクト開発を支えつつ、猛進しがちな加嵜の手綱を握る一面も。

ブロックチェーンで何にも依存しないフラットな世界が完成する

川本 インターネットが始まった頃に描いていた理想が、今やっと形になりつつある。20数年かけて、社会全体が「次の世代」の人間になって、時間をかけて成熟したからこそ、ブロックチェーンを使って新しい課題が解決できるところまで辿り着いた。ここから10年、これまでとは違う何かがはじまる激動の予感、面白さが、今あるんだよね。

加嵜 インターネットは社会を変えた技術。その延長線上にあるのがブロックチェーン技術なので、インターネットが変えつつある社会や価値観の変化を後押しする性質が、ブロックチェーンにはあると思うんです。例えば、インターネットの普及によって登場してきたシェアリングエコノミーやクラウドファンディングなどのサービスは、ブロックチェーン技術とも非常に親和性のある分野です。ただ、セキュリテイや信用の問題は、これまでのインターネット技術だけでは完全には解決しない。それらを担保するために、最終的には政府や大企業の「信用」に依存しているのが現代のインターネット。でも、インターネットが本来目指した世界って、何にも依存しないフラットなつながりの中で、情報を共有したり価値をやり取りしたりすることだと思うんです。そんな世界が初めて完成するのがブロックチェーンなんだと思っています。

篠原 確かに、インターネットが本当に「民主的か?」って問われるとそうでもない現状があるよね。僕がブロックチェーンに魅せられたのは「止まらない仕組み」なところ。開発者がいなくなってもブロックチェーンが存在する限り、永遠にサービスが動き続ける。止めようと思っても止めることは難しい。通貨や労働が要らなくなって、人はより自由に好きなことをできる。そんな社会インフラの基盤をつくり得るのがブロックチェーンであり、その機能を拡張するスマートコントラクトなのかなと。

川本 ビジネスで大事なのは当然お金で、たくさんの人がビットコインに注目しはじめて、国が通貨として流通を認めて環境も整った。ただ、今は投機目的のマネーゲームの側面も大きい。1300〜1500ある仮想通貨も本来それぞれに使われるための目的があるのに、使われていない現状があって、仮想通貨の本来の価値を毀損してるとさえ思ってる。そこで、DMMが「使う場所」を提供すれば、より良い意味で仮想通貨の恩恵を広げられるんじゃないか。あと一歩、何かの課題を解決すればいいプロダクトができるんじゃないかっていうところまで、人々の興味関心が募っている。ビジネス的にもザワザワするたまらないタイミングだよね。

登壇者の写真:ブロックチェーンビジネスについて語る川本

マイニング事業の利益のすべてを投資する

川本 インターネットができた頃と同じで、誰もやったことがない、正解がない世界。だからこそ、トライしかないと思ってる。自分たちで正解をつくるくらいの意識でやっていかないと、何も生み出せないかもしれないし、どこにも勝てないかもしれない。

加嵜 誰もやったことのない、新しいことをやりたいっていう思いは同じく強いです。どこかの後追いをするんじゃなく、別の価値を生み出したい。

篠原 会社全体として、「何でもやろう」っていう風土は強い。シェアリングエコノミーみたいな相性の良いサービスや、DMMの既存サービスやユーザーを使うだけでもそれなりに展開できるだろうけど、反面、何かをブロックチェーンで実現しようとすると「本当にブロックチェーンである必要があるのか?」とか、利用コストの問題も出てくると思う。個人的にはそういった問題解決にも注力したい。

加嵜 僕は社会の課題を解決したいと思っていて、大学ではフェアトレードの研究を通じて貧困問題や経済・教育格差の問題解決に取り組みたい思っていました。ただ、当時、周りの学生と比べて自分にはそういう才能はないと思って、一転してコンピューターサイエンスの世界に飛び込んだけど、今こそその頃の思いが叶うんじゃないかって。コーヒーやカカオの真のフェアトレードを実現できるんじゃないかと思っていて、トレーサビリティや適正価格の問題を解決して、生産者と消費者が持続可能な取引を実現できる世界をスマートコントラクトでつくりたい。

川本 とりあえずやったらいいんじゃないかな。ただ、スピードは求めます。とりあえず3ヶ月で世の中に出せるものをつくってみて、当たればもっとスケールすればいいし、失敗したら次に活かせばいい。

篠原 川本さんもこんな感じなんで、誰も止めないと思うんですよね(笑)。それは紛れもない強み。ビジネス的なアドバイスはあっても、「儲からなそうだからダメ」って一刀両断されることは少ないと思っている。

川本 この業界で、僕らは常にヴァンガードであり続けたいからね。マイニング事業の利益のすべてをこの事業に投資するから、圧倒的なキャッシュリッチの状況がある。必要なら人も雇えるし、広告も打てる。

篠原 開発者として、これ以上の環境はないですよね。この実験的な試みをフリーランスでやることもできるけど、お金の心配をしなきゃいけなくなるかもしれない。企業としてのバックアップがあるから、明日食べるものに困らず、新しい情報を吸収してどんどんチャレンジできる。いっぱい失敗すると思うけど、それもきっと「うまい」失敗になる。すごい強みですよ。

登壇者の写真:開発者の働く環境について語る篠原と、それに耳を傾ける加嵜と川本

刺激を与える教育を提供していく

川本 組織体制はスクラム開発がベース。スクラムのイベントをこなしながらスピード感を持ってつくっていく。もちろん、安心して開発できる組織にするための努力や投資は惜しみません。社内外から講師を呼んでのイベントや、メディアの立ち上げなど、教育のプログラムは充実させる予定です。

加嵜個人だと参加しにくいカンファレンスへの参加の支援や、大規模システムでのブロックチェーンアプリの開発など、組織力があってこその支援はしたいですね。

篠原 新しい情報が日々溢れていて、とにかく情報量が多いので、ナレッジ共有の仕組みはつくりたいですね。僕も日々ソーシャルメディアのタイムラインを追いかけて寝る暇もないけど(笑)、仲間がたくさんいればそのぶん入ってくる情報も多くなる。

川本 刺激を受けないと新しいものは身につかない。だからこそ、刺激を与えられるような教育をしていきたいし、その刺激を受けて、一人ひとりが自ら次のステージを考えて提案できるような、そんな組織になればいいと思っている。

反骨精神も革命家も大歓迎、今こそゲーム・チェンジの時

篠原 この事業に向いているのは「革命家」だと思っていて。ちょっと危険な物言いかもしれないけど、今の仕組みをぶっ壊したい反骨精神のある人というのかな。

加嵜 スマートコントラクトの技術ってある種の破壊的な要素があって、例えば経営が自動化されたり、これまであった会社が不要になる可能性もあるから、既存の営利企業には突き詰めにくい側面もある。例えば、DMMという一企業を自動化しちゃって、誰にも依存せず自律的に動き続ける仕組みにしてやろう! くらいの気概でこの事業に取り組んでいきたい。

(一同爆笑)

加嵜 あくまで例えば話ですけどね!(笑)

篠原 そういう意味では、DMMっていうサービスは残るけど、DMMっていう会社はなくなった状態は理想だよね。世界の10万人くらいがDMMにちょっとずつコミットしてるけど、DMMはそこにはなくて、サービスだけが動き続ける。DMMが概念になる。

川本 お金はちゃんと動いた状態で、第三者を必要とせず、契約は全てブロックチェーンに書き込まれている状態。確かに、自動化されちゃう。できそうな気がするね

加嵜 そういう思考ができる人は向いてると思います。

川本 スマートコントラクトは適用分野が広いから、それぞれがそれぞれの専門分野で革命を起こしてくれればいいよね。ブロックチェーンやスマートコントラクトに世の中を変える未来を感じている人たちが、知見を持って集って何か起こせばいい。それを革命って呼ぶなら、革命しちゃえばいい。ゲーム・チェンジですよ。

登壇者の写真:スマートコントラクトが及ぼす影響について語る川本

ブロックチェーンを使って壮大な社会実験をしたい

川本 業種、業界は問わないし、ビジネス職であれば技術を知っていることよりも市場原理を知っていることのほうが大事だよね。大切なのはものごとの本質を理解できるかどうか。

加嵜 エンジニアにしても、技術より人の動きが分かるほうが重要だと思っています。スマートコントラクトは革新的な技術だけど、技術だけで世界がかわるわけじゃなくて、世界を変えるのはそれを使う「人」。インターネットが社会を変えたわけじゃなく、インターネットを使って社会を変えたいっていう人がそれを実現した。スマートコントラクトという技術を使ってどんな社会を目指すのか。そういう思いをエンジニアにも持っていて欲しい。

篠原 最終的に価値を決めるのは人間だからね。僕はパソコン通信やインターネットをつくることはできなかったけど、ブロックチェーンの技術に関しては、今からやればその世界を一からつくることができると思っている。インターネットと同じように、ブロックチェーンのバブルや冬の時代がまた絶対くる。そんな時代を経て、十数年後にはブロックチェーンが生活の一部になっていて、説明する必要もなければ、誰も意識さえしなくてなっている……。そんなSFの世界、ビジョンを一緒に描ける人、ブロックチェーンを使って壮大な社会実験をできる人と働きたいですね。

川本 人間誰しも、悩むし落ち込むこともあるけど、折れない心を持って進み続ける真の強さがないと、新しいことは成し遂げられない。やろうと決めたことを、失敗しても成功しても、お客さんのもとに届けることができるか。辛いことも面白おかしいことも全部楽しみながら、パっと切り替えて楽観的になれる人じゃないと、情熱やビジョンは描けないと思っている。

篠原 確かに、死ぬわけじゃないやっていうのはありますね。

加嵜 実は僕、大学一年以来、コーヒーを飲んでないんです。フェアトレードからコンピュータサイエンスの世界に転進したとき、もう一度フェアトレードの世界に関われるまで願を掛けようと思って、コーヒーを断っています。

川本 それは早くコーヒーを飲ませてあげたいなぁ。スマートコントラクトでフェアトレードの事業を早く実現したいね!

加嵜 願掛け10周年の2018年をコーヒー解禁の年にしてみせます……!

川本 スマートコントラクトで実現できることって、今こうやって思いつくこともあれば、まだ想像さえできないサービスもあるだろうけど、スピード感を持ってどんどん動いて、動きながら考えて。ゴールは誰にもわからないけど、前人未到の領域だからこそ、DMMが世界に新たな価値を届けたい。そう思ってるよ。

登壇者の写真:インタビュー後のスリーショット