【後編】「スマートコントラクト×IoT」で実現できるサービスについて考えてみた

こんにちは!スマートコントラクト開発部のマルシオです。
スマートコントラクトとIoTを掛け合わせたらどんなプロダクトができるのか?
その答えを探るべく、DMM.make AKIBAを運営するmake事業部とスマートコントラクト事業部の精鋭が集った「IoT×スマコン合宿」。

前編1では、ブロックチェーンとIoTの基礎講座を、前編2ではIoTの基礎講座をレポートしました。

本質はモノではなくサービスであるIoT。
誰にも管理されずに事実を証明できるブロックチェーン技術、さらにブロックチェーン技術を使って電子化した資産を自動的にプログラムで移動するスマートコントラクト。

これらを掛け合わせると、どんなサービスやプロダクトが実現するのか?
まだ世の中に存在しない未知の領域だからこそ、まずは思いつくままに発想をぶつけ合おう!

ということで、講座内容を踏まえて、合宿の後半では、IoT×スマートコントラクトで実現できるサービスについてアイディアソンを実施しました。

ブロックチェーン技術やスマートコントラクトという概念がどんなビジネスを実現できるのか知りたい!
ブロックチェーン技術を使ってスマートコントラクトなプロダクトを創出したい!

そんな方にぜひ読んで欲しい、レポート後編をお届けします。


スマートコントラクトなビジネスとは!?

make事業部とスマートコントラクト事業部の混合メンバーで3チームを組成。
アイディアソンのルールは以下の通り。

アイディアソンのルール

  • 各自アイディアを書き出す
  • アイディアをグループ内でシェア
  • 深掘りするアイディアをグループで一つ選ぶ
  • 選んだアイディアについて以下の6項目を検討
    • サービス内容
    • 機能的価値
    • 情緒的価値
    • 必要なシステム
    • 必要なリソース
    • マネタイズ手法
  • 発表

メンバーそれぞれが思い描く、スマートコントラクトでIoTなプロダクトのアイディアの種を付箋に書き込んでいきます。

集まった付箋の総数、118枚!
メンバーの年齢、性別、職種はさまざまで、それぞれの得意分野や興味の矛先は異なっていましたが、そこは適応範囲の広いIoT×スマートコントラクト。
広範なバックグラウンドがあればあるほど、多彩なアイディアに結びついている様子。
具体的なプロダクトアイディアに期待がかかります。


「IoT×スマコン」3つのアイディア

着想からディスカッションまで約2時間。
個々の発想をぶつけ合いまとめながら、どんなプロダクトが出来上がったのか?
実際にアイディアソンで発表された3つのアイディアをご紹介します。

アイディア①
農業のノウハウを売買するプラットフォーム!?

農業×ブロックチェーン
サービス内容
農作物をセンシングし、蓄積したデータをブロックチェーンに記録するアプリ
農作物育成手法が自動記録されることで、どこでも誰でもプロのノウハウが使用可能
ノウハウ提供者に対して、成果報酬として独自トークンを発行
情緒的価値
農作物の品質、ベストな豊作・出荷時期を把握できる
職人並みの技術、知識を持って簡単に農業を始められる
ノウハウ提供者は自分のスキルに対し、対価(トークン)を得られる
農業参入の障壁が下がり、食料自給率UPが期待できる
機能的価値
収穫時期のコントロール
作業効率アップと人的コストの削減
農作物の品質担保
職人によるノウハウの提供
ノウハウ提供者へのトークン発行
ターゲット
これから農業を始めたい人
すでに農業を生業としている人
必要な技術
IoT:センシング技術、全自動ビニールハウスなど
BC:データ蓄積技術(ブロックチェーン、オフチェーン)、トークン発行など
その他:アプリ開発、ライセンスフィーをキャッシュバックする仕組み、栽培キットなど
  • 農業に関するノウハウやセンシングしたデータをすべてブロックチェーンに記録してやり取りすることで、収穫時期や品質などの農作物のクオリティ全般をコントロールする仕組みです。ブロックチェーンに書き込まれた経験や知識をもとに農業ができるので、参入障壁を低める狙いもあります。

    発表者
  • すでにセンシングツールでチッ素、水質、温度、土中成分などを計測している農家の方もいます。ただ、そのデータをITと結びつけて自動分析しようとすると多額のコストが必要になるため、個人農家が導入するのはハードルが高いようですね。

    質問者
  • それなら、農業のノウハウを売買するプラットフォームとしてこの仕組みを展開して、農業関連のメーカーと連携しながら拡散させるのがいいかも。

    質問者
  • 農業の“職人芸”の部分、長年の経験があってこそのノウハウを正確に、かつ、正当な報酬をもって継承することで、新たな権利ビジネスを生み出すことができるんじゃないかと。

    発表者
  • 果物の糖度って数値化されてますけど、どこでも誰でも同じ数値の同品質のものが作れるようになるといいですよね。そのためには、その土地ごとの土質に合わせた栽培手法を提案するぐらいの、きめ細やかな分析が必要になりますね。

    質問者
  • 意外と、ITとまったく無関係な業界が“突破口”としてITの技術を欲しているのかもしれませんね。その業界の持つ課題が分かれば、最適な解決手法を一緒に考えられますね!

    質問者

このアイデアのココがスマコン!

  • ノウハウをブロックチェーンに記録し報酬をトークンで支払うため、アプリケーション内ですべてのやり取りが完結できる。
  • 煩雑な手続きや手数料が不要で、これまでにないライセンスフィーのキャッシュバックが可能になる。

アイディア②
トークンが不正対策の一手に

部屋の空きスペース×ブロックチェーン
サービス内容
自分の部屋の一部を「モノ置き場」として貸し出すサービス
貸し出すスペースにセンシングデバイスを設置し、Webアプリで管理
モノの受け渡しは配達業者に依頼
オーナーと利用者間の報酬取引はトークンを利用
情緒的価値
安価に荷物を預けられる
余った部屋のスペースを有効利用できる
機能的価値
モノを預けられる
モノがそこにあるか、ないかを確認できる
スマートロックと連携し、モノを容易に取り出せる
ターゲット
部屋が余っている人
モノを捨てられない人
必要な技術
IoT:センシング技術(部屋の空き情報、データの送受信)など
BC:データ蓄積技術(預かり状況やアプリでのデータ通信履歴をブロックチェーンに記録)、トークン発行
その他:アプリ開発
  • 今日の講義で学んだ「スマートコントラクトは売り手と買い手の垣根が低くなる」という視点と、スマートコントラクトと相性が良いと言われているシェアリングエコノミーを掛け合わせて考えてみました。今自分が持っている何らかの“資産”を売れないかなと。

    発表者
  • そこで思いついたのが、自分の部屋の余っている空間、1㎡以下の空間を貸し出すサービス。貸し出した場所には好きなモノを預けることができて、管理にはセンシングデバイスを利用します。加速度センサでモノが1ミリでも動けば感知するよう管理して、箱に格納した状態で預けるのでオーナーには中身は分かり得ない仕組みです。

    発表者
  • 変なモノ預けられたらイヤだなぁ。違法性があるものとか……。

    質問者
  • さすがに、当面は事業主(DMM)が安全性を確認して担保するしかないとは思っています。中身をきちんとチェックしてブロックチェーンに記録します。

    発表者
  • 何を預けるのか、フルオープンにするっていう選択肢もあるよね。人に所有物を見られたいコレクターをターゲットにして。

    質問者
  • このサービスって、悪いことができそうなにおいがプンプンしますよね(笑)。でも、悪用したくなる仕組みって、裏を返せば便利で求められているということでもある。

    質問者
  • 違法行為や悪だくみをどう制御するか。この命題に対する最適解って、何かを制限することではなく、不正しても得しない仕組みなんじゃないかと。報酬はトークンでやり取りするので、トークンの価値を毀損する行為は結果的に自分にとっても不利益になる。この仕組み自体が不正対策の一手になると思ってます。

    発表者

このアイデアのココがスマコン!

  • ノウハウをブロックチェーンに記録し報酬をトークンで支払うため、アプリケーション内ですべてのやり取りが完結できる。
  • トークンを介すことで、サービスの価値を毀損する行為を回避できる。

アイディア③
人生を冗長化できる個人情報管理システム

与信×ブロックチェーン
サービス内容
個人能力や特性を第三者が保証し、信用を証明するプラットフォームサービス
年齢、性別、社会的スキル、性格などの個人情報をプラットフォーム上で管理
第三者からの評価を加え信用を「スコア化」
これらの個人情報の販売や照会代行を自動化
情緒的価値
付き合いの長さに関係なく、信頼できるかどうか判断するための情報が入手できる
信用を可視化、定量化することで、あらゆるミスマッチを回避
機能的価値
個人の信用度をスコアとして証明
信用度を計る尺度は複数存在(自己評価・他者評価)
被評価者も可視化
個人情報の粒度が細かく、精細な個人情報が入手できるため、さまざまな業界で適用(人材や広告、金融など)
ターゲット
BtoCサービスを扱う企業
個人の信用情報を担保に、より良い生活を送りたいと考えている人
必要な技術
IoT:データ蓄積後、生体認証技術やウェアラブルデバイスの技術を応用し、サービス拡張
BC:データ蓄積技術(各種評価、過去の信用情報など、すべての情報をブロックチェーンに記録)
その他:アプリ開発
  • 個人の信用をブロックチェーンを利用して保証するプラットフォームで、個人の決済履歴や購入履歴、取引履歴など、与信になるようなデータを収集し、ブロックチェーンに記録します。

    発表者
  • DMMでの決済履歴で信用が貯まるなら、DMMの売上が上がりそうですね(笑)。DMMがその人を保証して、メルカリさんやヤフオクさんにも賛同いただいて、複数の企業で個人を保証するようになったりして。

    質問者
  • 生体認証と紐付いたデバイスを持ち歩くことで、他人に個人情報を譲渡・売買できないようにサービスを拡張すれば、デバイス販売の収益モデルもできますよね。あとは、与信情報に紐づく情報とそうでない情報を分けて、与信情報に紐付かないようなデータはトピックデータとしてマーケットに販売することも可能ですし。

    発表者
  • 色々な支払い履歴をブロックチェーンに残していけたら、企業としてすごく強いと思う。信用、与信情報を持っていればさまざまなビジネスに展開していけますよね。

    質問者
  • コレは僕の個人的な考えですけど……その時まで持っていた“信用”が不要になったら、そのアドレスを捨ててしまってもいいと思うんです。0からやり直すというか、人生の冗長化というか。

    発表者
  • 偽名みたいな使い方になったらそれは大問題だけど、今後、社会起業する人がさらに多くなること考えると、チャレンジし続けるためには重要なファクターになるかもしれないね。

    質問者

このアイデアのココがスマコン!

  • 与信情報という、絶対に改ざんされてはいけない情報だからこそ、ブロックチェーンに記録する意味がある。
  • プラットフォーム上で与信情報が更新されると、データ購入主側が事前に登録(プログラム化)した事象が自動執行される。

「IoT×スマコン合宿」を終えて

IoT×スマコンの未来を垣間見ていただけたでしょうか?

あくまでアイディアソンとしての議論で、実現性の可否や法的な問題をどうクリアするかまでは検討できていませんが、メンバー一同、まだ見ぬ未来の断片に熱い思いを馳せたようです。

とは言え、冒頭から申し上げている通り、この地球上にスマートコントラクトなプロダクトはまだほとんど存在していません。
正直、今回のアイディアソンでも「なぜスマートコントラクトなのか?」という部分までは詰めきれませんでした。

スマートコントラクトなプロダクトやサービスが世の中に流通するようになるまでには、まだまだ長い道のりが必要で、その未来がどんなものなのか、それは私たちスマートコントラクト事業部・開発部のメンバーにも分かりません。
ただ、世の中にスマートコントラクトなサービスが溢れるようになった頃には、「なぜスマートコントラクトなのか?」、その理由を考えるまでもなく、ブロックチェーンやスマートコントラクトが生活に根付いていることでしょう。

そんな未来への第一歩を踏み出すヴァンガードとして、DMMスマートコントラクト事業部・開発部では、これからも荒野を開拓していきます。

このような議論を繰り返しながら、具体的なプロダクト製作まで取り組みを発展させていく予定です。

この記事を読んで、
「うちの会社のこの商品もブロックチェーンと相性が良さそうだゾ……」
「このサービスをスマートコントラクトで自動化することができそうだ」

と思った企業、スタートアップの皆さん、ぜひ一度DMMスマートコントラクト事業部・開発部に遊びにいらしてください。

今後もこのような取り組みをどんどん発信していく予定ですので、お楽しみに!