【前編】「1時間で分かる、はじめてのブロックチェーンアプリケーション開発入門」出版記念イベント

はじめに

こんにちは、スマートコントラクト開発部メディア担当のてらしいです!
先日2/26(月)、DMM本社にて「1時間で分かる、はじめてのブロックチェーンアプリケーション開発入門」の出版記念イベントが開催されました。
初回イベントにも関わらず、参加者の募集開始からわずか1時間で100席分が満席になり、好評をいただいたイベントとなりました!

ブロックチェーンの概要から始まり、ブロックチェーンアプリケーション開発に必要な言語やフレームワークの紹介、独自トークンの実装方法など、本の著者である加嵜氏 、篠原氏による講演内容をレポートにまとめましたのでご覧ください。

登壇者プロフィール

加嵜長門かさきながと

スマートコントラクト事業部 エバンジェリスト

顔写真:加嵜長門
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修士課程 修了
ビッグデータ活用基盤の構築に携わり、SparkやSQL on Hadoopを用いた分散処理技術やブロックチェーン技術の研究開発、事業提案などを担当。
同部テックリードの篠原航との共著『ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書』(マイナビ出版)は、発売から1週間で重版が決定。日本のブロックチェーン技術を牽引する。

レポートを読む前におさえておきたい用語

ブロックチェーン
分散型台帳技術とも呼ばれ、ビットコインなどの仮想通貨の中枢となる技術。取引履歴をブロックと呼ばれる単位にまとめ、管理者不在でも改ざんが困難で自律的に動作する特徴がある。
スマートコントラクト
条件に合った出来事が発生すると契約が自動的に執行するようプログラム化された仕組み。商品購入をはじめ、さまざまな契約や取引に応用できる。
P2P
「peer-to-peer」の略。通信端末がデータを保持し、 他の通信端末に対して対等にデータの提供、要求、アクセスを行う、自律分散型のネットワークモデルのこと。
DApps
「Decentralized Applications」の略。非中央集権・自律分散型アプリケーション。ビットコインもDAppsの一つ。DAppsによって今後多くの社会基盤が、中央集権型な体制から非中央集権・自立分散型なものになっていくとされている。

【第一部】ブロックチェーンの基礎知識「ブロックチェーン技術の民主性」

前半は、エヴァンジェリストの加嵜氏が登壇。
徐々に身近な存在となりつつある仮想通貨を切り口に、ブロックチェーンの概念からその応用性まで、詳しくない方にとっても分かりやすい内容でありながら、ブロックチェーン技術の奥深さを改めて感じる講演でもありました。

ブロックチェーン技術が実現する「民主性」とは?

ブロックチェーン技術の民主性
  • 多くの仮想通貨がオープンソースとして開発中
  • 2009年以降、1500種類を越える仮想通貨が登場
  • 一方、国家による法定通貨は200種類程度
  • 通貨や金融以外の幅広い分野にも応用可能

現代社会において、インターネット上で新しくサービスを始める障壁はとても低くなっていて、多くの人が市場に参加するようになりました。
同時に、アイディアがプロダクトとして世に誕生しやすくなったとも言えます。優れたプロダクトは生き残り、そうでないプロダクトは淘汰されていく。生き残ったアイディアがどんどん発展するサイクルがこの2〜30年で繰り返されています。ブロックチェーンでも同じようなことが言えます。

例えば、仮想通貨は現状1,500種類以上存在し、市場で取引されています。今までの歴史の中で生き残っている法定通貨は200種類ほどですが、それを遥かに超える数になります。ビットコインが誕生した2009年から約10年でここまで発展してきました。
プロダクトと同様に、使われない通貨は淘汰され、生き残る通貨は改善され、イノベーションが起こっているんです。

社会を変えるのは技術ではなく、人だと、私は考えています。世の中をより良く変えたいと思っている人たちを後押しするのが、インターネットであったり、ブロックチェーンだと考えています。公開したWebサービスやアプリケーションは誰にも止めることはできません。

まとめ

  • インターネット社会において自分のアイディアをプロダクトにすることは簡単
  • 仮想通貨の種類は現状1,500種類ほど存在し、流通する法定通貨を遥かに凌ぐ量

ブロックチェーンの登場の背景と歴史について

ブロックチェーンの登場
  • 2008年に、ビットコインのデザインペーパーで提案
  • Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System
  • もともとはブロックチェーンという名前ではなく、タイムスタンプサーバーと呼ばれる

ブロックチェーンが注目された背景には、2008年にビットコインのデザインペーバー『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』で提案された技術として誕生しました。
もともとは『ブロックチェーン』ではなく、タイムスタンプサーバーと呼ばれていました。

そもそもビットコインが解決したかった課題についてですが、現在の法定通貨の存在が大きく関わってきます。
現在の法定通貨は、特定の主体(国家、銀行、企業など)に依存しているため、その特定の主体に何かあった場合や有事には自由に引き出せないのが、中央集権であるがゆえのデメリットでもあります。
そのような課題を解決するために、ビットコインが誕生し、自分の資産をいつでも自由に移動できる仕組みを実現したということになります。

まとめ

  • ビットコインが解決したかった課題は「実は自分の資産でも特定の主体に管理されていれば、完全に自由に扱えるわけではないこと」
  • 人間が仮想通貨の流通量を自由にコントロールできる
  • アイディア次第でさまざまな経済システムを構築できる

ブロックチェーンで管理者不在の共有データベースを構築できる

管理者不在の共有データ
  • 管理者不在の共有データベースが実現可能
    (1)金融への応用
    個々の銀行が個別に口座管理しなくてよい
    (2)医療への応用
    個々の医療機関が個別にカルテを管理しなくてよい
  • ブロックチェーンに限らず、分散台帳技術とも呼ばる

具体的には、金融機関に応用することも可能です。例えば銀行です。各銀行に口座が必要になった場合、銀行ごとに口座を開設する必要がありますが、ブロックチェーン技術を使えば一元管理ができるので、わざわざ各銀行で口座を開設する必要はなくなります。

また、医療機関でも応用できます。電子カルテの場合、各医療機関でそれぞれの患者データを保有しているので、異なる医療機関を受診する際は改めて一から診察してもらう必要があります。
仮に電子カルテのデータをブロックチェーン上に置けばその必要はなくなります。
各医療機関で持っているデータもブロックチェーンで一元管理して、アクセス権だけ可能にし、情報開示だけ承認してしまえばどの病院でもカルテを共有できるようになります。

このように人手に頼っていた作業も電子化が進んでいけば、プログラムで自由に置き換えることができます。今まで煩雑だった作業も、全てプログラム化することで作業そのものを自動執行できるようになります。
それを総称して、契約の自動化(スマートコントラクト)と言います。

まとめ

  • ブロックチェーンは金融や医療などの分野にも応用できる
  • より電子化が進むことで、あらゆる作業が自動執行され、スマートコントラクトが実現できる

仮想通貨の価値の根拠は何で決まるのか?

通貨の種類価値の根拠
塩や米などの必需品有用性
金や銀などの貴重品希少性
円やドルなどの法定通貨国家への信用

人類の歴史の中で通貨は形を変えて存在して続けていますが、『誰でも使える、合意ができるもの』に価値があるとされてきました。
例えば、米や塩が価値の尺度だった時代もあります。

金や銀は地球上の埋蔵量が限られていてその総量が今以上に増えることはないので、価値の貯蔵に向いています。ただ、日常的な物々の交換手段には不向きであったり、埋蔵量が限られているゆえに経済規模の変化に対応できないという課題がありました。

また、金には、人々の生産力が上がったとしても、金の流通量が増えければ価値が落ちてしまうという欠点があります。
金の量が増えることはないので、生産量が2倍に増えたとしても、流通量が増えなければ価値は落ちてしまいます。
その課題を解決するために誕生したのが、「法定通貨」です。
国家で発行され、流通量をコントロールし、『国家は信用できる」という前提があるため、今の法定通貨は成り立っています。

この考え方を仮想通貨の価値に当てはめると、ビットコインや他の仮想通貨も発行量に上限が設定されています。ビットコインの場合は中央管理者は存在せず、2,100万BTCとプロトコルレベルで合意できています。つまり、価値が保たれています。

XRPと呼ばれる仮想通貨の場合は、リップル社がXPRの発行、管理をしていて、市場の価値を見ながら流通量をコントロールしています。今の法定通貨と同じような使い方です。

まとめ

  • 通貨としての条件は「誰でも使える、合意ができるもの」であること
  • 金の場合、価値はあるが埋蔵量が限られているため、通貨には向かなかった
  • 国家による発行、流通量のコントロール、国家の信用があるため、法定通貨として成立している
  • ビットコインは中央管理者がおらず、発行量に上限が設定されている仮想通貨
  • XRPは中央管理者が存在し、流量量がコントロールされている仮想通貨

まとめ

イベント前半では、加嵜氏からブロックチェーン技術の本質や仮想通貨の価値の根拠について講義がありました。
ブロックチェーンや仮想通貨の概念的な話、ブロックチェーン技術がどのような応用ができるのかなど、勉強になることが多くありました。
ブロックチェーン技術の応用性だけでなく、暗号通貨が誕生した背景も含めて、ストーリー性を持って知ることができた講演内容でした。

特に印象に残ったのは、「社会を変えるのは技術ではなく、人である」という言葉。
我々スマートコントラクト事業部・開発部でも、社会にとって意義のあるプロダクトを開発すべく日夜奮闘中です!
アイディアには無限の可能性があると信じて、人の力でアイディアを形にして行きます。

続いて後半は、テックリード篠原氏による「ブロックチェーンアプリケーション開発入門について」になります!懇親会の模様もお届けしますのでぜひご覧ください!